初音ミクと鏡音リン・レンの初稿

ちょっと古い雑誌になるのですが、月間「CG WORLD」の 2009年 01月号を読んでいたところ、「キャラクターデザイン研究所」という連載のゲストがイラストレーターの「KEI氏」でした。


「同性に好かれるキャラクターデザインの難しさ」というタイトルで、初音ミク鏡音リン・レンのキャラデザについて語っています。


「自分が思う“可愛い”が描ければ良いのかなって思っています。だから初音ミク鏡音リンは自分の好みの固まりなんです(笑)」と語るKEI氏は、男の子キャラである鏡音レンのデザインには、同性に求められる可愛さが何なのか分からなくて苦労したそうです。


初音ミクのデザインは「YAMAHA DX7をモチーフにした、16歳くらいのサイバーなアンドロイドで、耳にメカっぽいアイテムを付けて、腕にシンセサイザーのパネル部分をつけたようなキャラにして欲しい」という指示を受けたそうです。

その指示で考えたのがこの2案でした。



で、描きやすさとシルエットの分かりやすさからツインテールを採用したそうです。

ちなみに、初稿その1案が着ている服は、好きな男の子の学ランを着ちゃった女の子をイメージしたという事ですが、しっくりこなくてアーム部分だけ残す今のデザインになったようです。
KEI氏曰くは、「腕の絶対領域」だそうです(笑)

CG WORLDには、更に2稿、3稿と変遷したイメージが掲載されていますが、引用の範囲を超えそうなので割愛します。

とは言え、こうして初稿を見ると、初音ミクについては、当初イメージがほぼそのまま決定稿まで継承されている事が判りますね。
多くの人に強烈なインパクトを与えて受け入れられた初音ミクのデザインは、最初から迷いが無かったんですね。


第2弾の鏡音リン・レンは、前述の通りKEI氏も相当苦労されたという事で、初稿を見るとそれが良く判ります。



リンは、ミク同様決定稿とあまり違いが見られませんが、レンは全くの別人です。

KEI氏は、最初、女の子みたいな男の子が可愛いんじゃないかと思っていたそうですが、女性スタッフの意見などを参考に、かなり試行錯誤されたようです。(こちらも2稿は省略します)
確かに初稿では、ほぼ女の子キャラですね。

また、衣装は男女関係無く着れるようにしようと考え、セーラー服にしたそうです。


KEI氏にキャラデザを依頼するにあたり、開発サイドは「あまり萌えに特化していないのが良かった」と選定理由を述べたそうです。
可愛さ、萌えに通じる記号を持つキャラクターでありながら、媚びずに透明感のある人格を感じさせるKEI氏のデザインは、確かに男女を問わず好まれる、確固たる存在になったと言えるでしょう。

これからもKEI氏とKEI氏のキャラクターが活躍される事を祈念いたします。



KEI画廊