『蜻蛉迷宮 〜Amnesia † labyrinth〜』(1)

choiota2009-08-16


谷川流生存確認その3って事で、「蜻蛉迷宮」を買いました。
っていうか、買ったのは結構前なのですが、現在元から少ない空き時間の殆どをDQ9に費やしているため、積んでいる本がどんどん増えている状況です。(しかも、クエストとか転職とかをダラダラやっているので、未だにクリアしていないという…)


まあ、ハルヒ脚本ではあまり冴えなかった、というか原作者のみが使える強みも使っておらず凡庸だったので、こちらも確認をしてみようと思った次第です。

公式サイトの新刊情報説明文はこんな具合です。

───“蜻蛉”の世界に、刮目せよ───

八月三十一日、夏休みの最終日。遠く離れた男子校で寮生活を送っていた櫛木宗次は、二学期から実家近くの学校に通うことになり、再びこの街に戻ってきた。独特の雰囲気を持つ一番上の妹・曜子、わたわたとせわしなく動く二番目の妹・波留巳、元気いっぱいで何故かメイド服姿の一番下の妹・咲。また彼女たちとの平穏な生活が始まるのだ──そう思っていた矢先。宗次が転校した学校では、奇妙な連続死亡事件が起こっていた。クラスメイト・笹井由香子の強引な誘いを受け、宗次はその事件の謎を追うことになるのだが……。


これは、小説を愛する読者たちに贈る“漫画”である。


一読しての感想。

谷川流この先生きのこる!?


う〜ん、なんだか「月姫」を翻案したのかと思っちゃいました。
すごく…きのこってます。谷川先生。


だってね…


 ・兄の出奔を契機に、実家に帰ってきた主人公。(ここは違うけど、印象としては似ているかな?)
 ・旧家には、主人公を兄と慕う3人の妹。(実妹、義母の連れ子、妾腹・肉体関係あり)
 ・繰り返される殺人、跋扈する殺人鬼。


勿論、お話としては全く違うのですが、なんだか思い出させるよなぁ〜って感じでしょうか。


ストーリーとしては、1巻では風呂敷を広げている段階で、尚且つどの方向に流れるのか判りませんが、主人公が殺人を妹達の仕業と断定している辺りから、単純なミステリーではなく伝奇モノかサイコホラーといった趣です。
少なくとも、殺人事件の犯人探しがメインではなく、主人公を巡る妹達と「家」「血統」といったものがキーになってくると思われます。


お話としては続きを読んでも悪くないのですが、作画が若干好みではない、というか不安定ですね。
僕は、アニメを作画監督で語ろうとは思わないのですが、まんがは作家性の世界なので、絵の好みに嵌まるかどうかで続けるかどうかを決めますが、今回は正直微妙…

まあ、原作有り、キャラ設定有り、という事で次巻を読んでみます。


それにしても、「刮目せよ」とは随分大仰な煽り文句ではありませんか…
そして、帯にはヤマカンを持ってくる、と。


一生懸命話題作りをしようと頑張るのもいいけど、まずは「驚愕」をどうにかしようね、ほんと。


さて、以下ネタバレありますので、未読の方はご注意ください。

殺されたのは全て主人公が転向してくる高校の生徒ばかり。

 ・学年で成績が一番の子。
 ・陸上部のホープ
 ・みんなから慕われる生徒会長。

この3名が、主人公が転向する直前に相次いで殺されています。
連続殺人でありながら、共通点が見つからない、という疑問が出されています。


対して主人公は中学時代、成績は学年トップ、運動会でも大活躍、顔もそこそこ悪くないという完璧超人タイプ。
犯人は、主人公を全てにおいてトップにするため、邪魔者を排除したと見るのが妥当でしょう。


該当するのは、主人公を偏愛する妹達で間違いないでしょうから、興味は何故そこまでするのか?どうやって殺したのか?という点にあります。


ここで気になってくるのがタイトルの意味です。

蜻蛉迷宮Amnesia † labyrinth〜」

蜻蛉迷宮」という漢字のタイトルに対して、英文タイトルは「Amnesia labyrinth」となっています。
Amnesia」は「記憶喪失」なので、「記憶喪失の迷宮」といったところでしょうか?

だとすると、漢字の「蜻蛉」は「トンボ」でも「カゲロウ」でもなく、「陽炎」という事で、現を離れた話であり、記憶に絡む何かが起こっていると推察されます。

実際、1巻のラストでは座敷牢に幽閉されている人物(出奔した兄?)から「お前が忘れちまっているってんのなら思い出させてやる事はできる」と声を掛けられています。


また、中盤主人公の学校に忽然と現れる妹も、本当に実体のある人間なのかよく判らず、どうも多重人格、ドッペルゲンガーなどが絡みあってるような雰囲気です。


という事で、第4の被害者が、曜子の来訪に気付いてしまった笹井由香子なのかを想像しながら、12/10の2巻を待ちたいと思います。