涼宮ハルヒの憂鬱 第9話「サムデイ イン ザ レイン」

choiota2006-06-02


放送9話 構成第14話 サブタイトル「サムデイ イン ザ レイン」ですが…

なんせ見てるのがサンテレビってことで、放映前にあらかたネット上で語りつくされてる訳で、今更なんですが。

ちなみにいくつか読んだ中で成程と思ったのは…

「もらかなです。」さん

そして 長門だけ約2分16秒 + 電車内のキョン約6秒間 + 長門だけ約59秒 のシーン
この 一見 退屈な時間は おそらく 長門が生きている 時間である
演劇部がとなりでわいわい楽しくやっている のに対して 長門は一人で寂しく本を読んでいる

「消失」未読だそうですが、実は長門のストーリーでもあった、というのは鋭い読みだと思いました。

万聞は一見に足るやも」さん

ある雨の日のこと、SOS団部室にたった一人で、長門は何を思いながらずっと本を読んでいたのか。
ハルヒキョンを中心とした破天荒な提案をして、その後みくると古泉を巻き込んで楽しそうに遊ぶ姿を見て。
中学生時代は毎日憂鬱だったはずのハルヒが、仲間たちを得て良い方向へ変化していく過程をずっとずっと見てきて。
ただ情報統合思念体とかいう親玉の命令を受けて、いつも通り、一人でみんなを観察していた?
無表情に、何も語らず、何も思わず?


そ ん な わ き ゃ な い で し ょ う 。

全くです。



ところで今回は、構成最終回の上にオリジナルストーリーって事で、これまで以上に言及が多いようですが、思いのほか少ないなぁと思ったのは今回の脚本が谷川流本人からの考察です。

ということで、谷川脚本という観点から見た感想などを一席。
(引退したヌルヲタなので最近のアニメ事情…スタッフとかね…は全く知らず、言及できないというのが真相ですが)







<以下原作(消失)ネタバレあり>







問題の長門読書シーン長回しっていうのは、「小説では表現できないリアルタイムの時間経過」です。

「消失」の前に挟み込まれた、小説では表現できない(キョンの一人称ではない)エピソードから見えてくるもの。


淡々と本を読む長門。通り過ぎてゆく時間。


「待機」状態だった頃の彼女にとっては、単なる日常でありなんの感慨も与えなかったのでしょうが、SOS団が出来て、キョンと出逢い自我と感情を持ち始めた長門にとって、それはキョンが冒頭で感じた以上に寂しく感じられた事でしょう。


キョンにとってハルヒとの出逢いが世界の始まりだったように、長門にとってはキョンとの出逢いが世界の始まりだったのです。


そして雨が降ります。


これを長門のした事だと解釈もありますが、「退屈」において「雨を降らせることは可能だが環境に悪影響を及ぼす」と言って断っている以上、僕はそれは無いと思います。



これはやはり、キョンと相合傘をしたいと思ったハルヒが望んだことでしょう。
キョンをお使いに行かせたものの、マフラーなどを見て、自分ももうちょっとキョンと近づきたいと思ったとか)


余談ですが、「傘なんて一本あれば十分でしょ」と目を逸らしながら言うハルヒにはナガトスキーの僕もクラリと来ました。



観察者の立場として、観察対象や周辺環境に対しての過度の干渉が制限されている長門にとって、取るに足らない理由でいとも簡単に世界を改変してしまうハルヒの行動は、どのように写るのでしょうか?


そこから生まれるのは、新たな感情「嫉妬」なのではないか?
折りしも、みくるのマフラー巻きに対するハルヒの反応で「嫉妬」を見た後です。


鶴屋さんにはハルヒたちの居場所を教えたのに、キョンには教えないという行動からもそれが読み取れます。


そしてその嫉妬心こそが、半月後の「消失」の引鉄になったのではないか?


長門の本質は、嫉妬心に対して罪悪感を抱く筈です。
だからこそ、緊急脱出装置を用意して、全ての判断をキョンに委ねたのです。


日常と非日常の逆転が物語の始まりであったのならば、非日常から日常に引き戻される事は大いなる喪失であり耐えがたい事である、と言えるでしょう。


消失において、キョンがエンターキーを押して、非日常であるSOS団への帰還を選んだのはその為です。
対して、消失を引き起こした長門が望んでいたのはハルヒという非日常がいない世界でキョンと出会うことでした。


うぅぅぅ、長門かわいいよ、長門。っていうか不憫だよぉおおお〜


というのが、僕の見た「サムデイ イン ザ レイン」でした。


あと、ちょっと違うけど第3kj日記予定地 第4工程作業中さんのエントリに大いに頷いたのでした。

<追記>2006/6/7
公式サイト活動記録が更新。

第9回活動記録 サムデイ イン ザ レインにも例によって長門の隠しコメント(白色文字)が…

SOS団の日常  変化の始まり・・・

長門自身が変化の始まりを意識してます!!