ロケットガール1 女子高生、リフトオフ!
という訳で、野尻抱介「ロケットガール」のご紹介です。
長らく入手困難で、僕も読んでいなかったのですが、2007年2月アニメ化という事で、再刊されたそうです。
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「何も知らない女子高生が、若干マッドな科学者の甘言に乗せられ、宇宙飛行士となって有人宇宙飛行を目指す」というお話です。
テーマやプロットが、笹本祐一を彷彿とさせます。
笹本氏の場合は、宇宙人と戦ったり(妖精作戦)、宇宙人と馴れ合ったり(エリアル)、世界制服を目指す敵がいなかったり(小娘オーバードライブ)、という感じですが、ロケットガールの場合は敵とかそんなんではなく、ただもう宇宙へ行く事が目的です。
以下、ネタバレあります。
主人公たる森田ゆかりの目的は、新婚初夜に失踪した父親を探す、というのが真の目的だったんですが…
さて、ゆかりを悪の道宇宙飛行士に引きずり込むマッドなサイエンティストが、那須田勲所長ですが、NASDA亡き今となってはちょっとメランコリーなネーミングです。
かといって、JAXAを苗字にすると、もろ悪役にしかならないし…(蛇草、邪臭……駄目駄目だ〜)
最初は、この那須田所長が実は父親だった…というオチかと思ったのですが、違いました。が、意外に近い所に居て、すぐ見つかると思ったのは当たりで、森田ゆかりの父親は何故か原住民族タリホ族の酋長になっていたのでした。(え〜?
ご都合主義というか、ちょっと無理があるなぁ〜とは思いしたが、森田父が酋長になるきっかけというのが、「魔法で呼ばれた」からというもので、以降タリホ族の使う「魔法」が微妙にストーリーに絡んでくる、という事で納得しました。
あっけなく父親が見つかってしまい、宇宙飛行士になる必要が無くなった筈のゆかりが、それでも宇宙を目指す羽目になるのは何故か?
持ち前の負けず嫌いと、「行きたくても行けない人達の想い」に気付いたからなんですが、この「想い」は判ります。宇宙に行きたくないSF好きなんていませんっ!!と断言します。
子供の頃のSF的ガジェットの殆どが実現している現在において、「宇宙それは人類に残された最後のフロンティア」(♪ぱ〜ぱ〜ぱ〜ぱぱぱ〜)なのです。
子供の頃深夜放映される「宇宙大作戦」の再放送を見て、8bitの「マイコン」でキャラクターベースの「スタートレック」ゲームに胸をときめかせていた僕としては、木下他メンバーの気持ちが痛いほど判るのです。
そんなこんなで、遂に再三のトラブルに見舞われながらも第1回の有人宇宙飛行が成功するまでの物語が綴られます
や〜良かった良かった。
楽しませてもらいました。
さて、著者が文庫版あとがきで「予言の書」と言っている通り、本書の描写にある宇宙開発の様相は結構リアルです。
スペースシャトルは、那須田の「NASAのシャトルだって十年先まで予約済のうえ、現用機はいい加減ガタが来てもうじきドカンといく。」という言葉通りになっちゃいましたしねぇ〜
完成前に老朽化して存亡も危ういISSにとっては、ミール崩壊もシャレにならない予言です。
(ま、801が原因の人為的事故でっていうのはともかく…)
という事で、12年前という事を差し引いても充分面白いので、2巻も読み始めました、続き早く読みたいですし、現状を踏まえてどのようにアニメ化されているかも興味深いです。
(3巻が1月発売に延期となりました)
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