仮面ライダーカブト最終話「天の道」


最終回は、特に目新しいネタはなく、取り敢えず畳んじゃえ!って感じでした。


ネイティブ化計画がいつから世界規模になったのか良く判らないですけど、世界レベルでやるのなら衛星多元中継で全世界同時にネイティブ化電波を出して欲しかったです。


それだったら、ライダーが宇宙空間で戦う、って話も判るし。
(映画版は見てないので全然知りませんが)


それにしても、因縁の三島さんとのラストバトルがインドアで肉弾戦ばっかりっていうのは面白みがありませんでした。


ダークカブトと闘った時のように、クロックアップ中に相手の裏の裏を読んだり、春のようにサクラの花吹雪の舞い散る中での闘いのように、ロジックでもビジュアルでも、もっともっと見せ場に出来る筈なのに、非常に残念です。

まあ、最後の「巴里」のシーンは合成っていうレベルじゃないぞ!だったんで仕方ないんでしょうけど、息切れなのかクリスマス・正月商戦後なんてこんなもんなのか…


クロックアップとハイパークロックアップを上手く連携させる事で、ジョジョ3部のDIO戦のように止まった時間の中で動ける、というようなブラフを三島さんが使ってくれると燃えたんですけど。
(子供向けの映像作品では判りにくいので無理でしょうけど)



前回予想ではこう書きました。


> ダークカブトは天道を助けるために、自ら犠牲になりそうですね。
> 天に太陽は二つも要らないとか言いながら…
>
> 悪いネイティブは退治して、ひよりと田所のような良いネイティブは
> 共存する未来なんでしょうか。


天道擬態君は、「俺達の世界を守ってくれ」と叫んで根岸さんと心中を選びました。
これはかなり当たり、かな。


やはり自分が何者かすら判らないまでに蹂躙されてしまった天道擬態君には、このままネイティブの姿や偽の記憶を持ちつつアイデンティティを保つ事は難しく、むしろ自分の居た(愛する)世界を救う為に選んだ道なのでしょう。

それでも天道ならば「生きろ」というのですが…


そして、「良いネイティブ」と共存する未来が示されました。


これこそが、この物語の出発点になるのではないかと思っています。


以下、その後のカブト・ストーリーを妄想しました。

人は、思想や宗教ですら寛容にはなれない生物である。
ましてや、明らかに「人間ではない」知的生命体と共存していく事が出来るのだろうか?


当然のごとく、そんな薔薇色の未来などありえなかった。

ネイティブが人類と平和的共存を目指すと思われていた時点ですら、「普通の人間にとってはワームもネイティブも同じ」という回答は出されてたのである。

やがて、ネイティブを排斥する時がやって来きた。


自分の愛する者、大切な仲間がネイティブだった時、彼らを守ろうとする者は人類の敵となる、今度こそ本当の「魔女狩り」が始まったのだ。


天道や加賀美は、再び「人類の敵」となり、味方はあまりにも少なかった。


そして、狩られるネイティブ達は絶望の中、本当の意味で人類とネイティブとが「共存」する方法を考え出す。
それが「過去に戻って人類を総ネイティブ化してしまう」作戦だった。


勿論、その作戦は既に破綻した歴史の上にあるのだが、過去に戻れるのであれば、単に「もっと上手く」やればいいだけの話でしかない。


そして、賽は投げられた。


生命体は、時を越えるにはあまりにも脆弱すぎる。
そこで、ネイティブの意思と生体のネイティブ化を司る物質が生成され、隕石という形で過去に送り込まれることとなった。


しかし、実験は思わぬ結果を生む。

隕石は時間を遡行する途上で複数に分裂し、しかも全く異なる時間に落下したのだ。

しかも、時間を遡行する途上での問題か、宇宙線被爆の関係かは不明だが、単一種であるネイティブよりも凶悪で多様化した進化が可能なワームを生み出してしまった。


ネオテニーであるネイティブは、繁殖力が弱い。
対して、成体化できるワームは、蛹からの変態により圧倒的な攻撃力と繁殖力を獲得した。
さらに、強められた攻撃衝動は、人類を見境無く殺戮し、圧倒していくだろう。


ネイティブ化すべき人類が、ワームにより蹂躙されていれば、やがてネイティブも滅ぼされる事になる。
そう考えた、ネイティブの一部が、ワームに対抗するための「力」として、ネイティブやワームの力を模した「ライダーシステム」を開発する事になった。
同時に、人類総ネイティブ化の為の実験も進めながら…


う〜ん、もひとつ捻りが足らないですね…
ただ、物語の根幹としてこのようなバックグラウンドが想定されていれば、単純にワームを倒すという描写が延々と続くのではなく、徐々に真相に迫り、真相を知った後でどう対応するのか?についてもっときちんと描けたのでは無いかと思います。


もしかして、電王の企画が「未来からの侵略者」に決まってしまったので、テーマの重複を避けたのかな?という気もします。
(玩具のデザイン・設計・原料部材調達・製造ライン確保などを考えると、2006年半ばには決まっていたでしょうから)


そんな訳で、SFネタを投入していて楽しめたカブトですが、やはり未消化のまま終了してしまいました。
もう少し脚本に統一性が欲しかったところです。
基本的には面白かったんですけどね。