ロケットガール mission 12 ロケットガール -rocket girls-
アニメ版ロケットガールが終了しました。
放映開始当初は、結構期待していたのですが、途中からテンションが下がってしまい、あまり感想を書いてきませんでした。
原作をうまく料理していたとは思うのですが、根本的な人物描写の部分があまり共感できなかった、というのが大きいかと思います。
主人公であるゆかりについては、その考え方や行動原理が首尾一貫していなくても、深みが無くても仕方ないと思います。高校生なんだから…
けれども、周りの大人達については、もう少し掘り下げておかないといけなかったのではないかと思いました。
作者である野尻氏は、視聴者の反応について、次のように書かれています。
ときどき見かける感想に「人命軽視が不快だ」というのがあります。これはもっともな感想で、原作を書きながら自分でもそう感じていましたが、あえて放置してあります。常識を破壊するのがSFの本分ですから、読者にある種の不快感を与えることは普通にあります。牧野修や小林泰三や田中啓文の作品を読めば思い知ることでしょう。
ロケットガールの場合どうかといえば、この不快感は有人宇宙飛行が必ず背負わなければいけないことなので、そのまま不快になっていただこうと思います。快感ばかり与えるアニメは山ほどありますし、虐殺シーンを不快感なしに見せてしまうアニメも結構ありますから、たまにはこういうのもいいでしょう。
僕の場合は、人命軽視が不快と言うよりも、各キャラクターの行動原理とその背景を視聴者に提示していない、と感じました。
ソロモン宇宙協会のメンバーは、宇宙開発については普通以上の能力と、それまでの職場や環境を捨てて参加している強い意思の持ち主である筈です。(そうでなければ、あの所帯で有人宇宙飛行を実現させることなど出来ないでしょう)
その際たる人物が、化学主任・三原素子です。
彼女は、日本の職場も捨て、単身赴任でソロモンに来て、マリッジリングを触媒にしてしまう程に、ロケットを飛ばすことに情熱(と実験施設を何度も…っていうか、ガスタンクまで爆発させてるのは演出過剰)を燃やしているのですが、アニメでは「単なる酸化マニア」(なんじゃそれ?)という扱いでした。(描写としてはあったけど、伝わったとは思えないのです)
その他の職員も同じような境遇で、それでも有人宇宙飛行を成功させたい、という想いを糧にソロモンに集結しているのでしょう。(木下管制官が僅かに語るのみでした)
そういった、多くの人の想いを乗せたロケットに乗り、多くの人が行きたくても行けない宇宙に行く。
その重みをもう少し感じさせて欲しかったと思いました。
1クール、12回では無理なのは承知の上ですが…
最終回単独で見ると、オルフェウスの修理が成功した後、SSAの面子が帰還不能について落ち込んでいるだけなのに、スペースシャトルクルーが何とかしようとし、スキップ弾道を提案、NASAが動き出すところは(流れは知っていても)鳥肌が立ちました。
また、OMS噴射タイミングを記憶した茜が気絶し、山勘で帰還成功するのは、ご都合主義ですが良しとしましょう。
ただ、せっかくなら、インタビューシーンと新聞記事の順番や長さにもう少し気を使って欲しかったところです。
またもやネリス女学院中庭に着水、というネタはきちんと見せて欲しかったんですよ、関西人としては。お約束だし。(っていうか、今後もトラブルの度にネリス女学院に着水する位の連続ギャグでいいと思ってます)
あと、パラシュートにSSAロゴが入ってるのにアンノウン扱いはないやろ!と突っ込みを入れたり…
とはいえ、最終輪に限らずシリーズ全体に対して、ネット上でも微妙な感想が多いようです。
もし、第2シーズンが作られるなら、月着陸ミッションだけで1クール♪とか思っていましたが、これはもう駄目かも知れんね。残念。
という事で、小説の4巻に期待します。
あと、今日放映されたバンキシャ!のレポートは料理しながらだったのでちゃんと見れなかったよ…無念。
<関連過去記事>
ロケットガール mission 02:アッセンブリ -assembly-
ロケットガール mission 01:ディスティニイ -destiny-
<関連サイト>
ソロモン宇宙協会-ロケットガール公式サイト-
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