第3話「優子と勇子」
冒頭で、これまでのあらすじが紹介されました。
メガネは11年前に登場し、全世界的に広まっているという紹介でした。
つまり、電脳化された都市が構築されて11年になるという事です。
ただ、優子はサッチーを知らず、大黒市に来て初めて見ているので、どの電脳都市にもサッチーが配備されているという訳ではないようです。
前回、「電脳コイル」の世界では、現実の都市を電脳空間にも構築してオーバーラップさせている、と書きましたが、現実の世界での変容をリアルタイムで電脳空間に反映させるのは困難な話です。
現実世界で、いくつかの建物がなくなり、ビルが建ったとすれば、その経過を逐一電脳空間に反映させるのではなく、ビルが建った時点で一気に書き換える方法を取る筈です。
ある程度以上の規模を持つサイトをメンテナンスした事がある人なら判ると思いますが、部分的なコンテンツの更新では、新しいコンテンツをアップしておいて、index.htmlを上書きする、とかディレクトリごと上書きするといった方法を使いますね。
電脳都市の更新にも同じ概念が使われているとすると、「遺棄された空間」の意味が判りやすくなります。
新しい建物を作って、一気に更新した後、デッドリンクになったまま消去し忘れてサーバ上に残っているファイルやディレクトリというイメージです。
デンスケが迷い込んだ空間は、暗闇の中に古い建物が点在するイメージで、サッチーはその空間を「フォーマット」したのです。
また、サッチーやキューちゃんが「現実世界」に対する視覚を備えている意味も、この考え方で説明がつきます。
サッチーやキューちゃんは、単なるウィルス駆除ソフトではなく、現実世界の変容を視認して、電脳都市のデータをアップデートするためのクローラーでもあると考えられます。
ここで重要なのは、常に現実世界を確認して電脳都市に反映するために、サッチーもキューちゃんも、その行動範囲に対して、現実世界の構造物による制限を受けていると考えられる点です。
電脳空間で、しかも空中を浮遊しているにもかかわらず、子供達が逃げおおせているのは、サッチーもキューちゃんも基本的に道路に沿って飛んでいるからではないでしょうか。
本来であれば、プログラムである彼らは、任意の座標を設定してそこに転移できて然るべきです。
そうしないのは、そのような行動が出来ないようなプログラムがされているからで、サッチーが建造物から出現したり壁抜けをしたりするのは非常時のみ許可される動作だと思われます。
それにしても、小説版の設定によれば、この電脳都市は子供専用の電脳空間である筈で、これを、メガネの販売及び月額利用料などで維持するのは、商業的に考えてコストが合わないような気がするんですが、どうなんでしょう?
と、下世話すぎる考察はこれ位にしておいて…
ようやく、学校に来て転入の挨拶をする優子。
その頃、優子の家には勇子の放った「モジョ」がデンスケを奪うためにメガばあ・京子と闘っていたり、いなかったり…
メガばあのぎっくり腰から、京子メガビーム大暴走までは腹を抱えて笑いました。
キューちゃん直撃食らってたけど、京子を追いかけなかったのは、不意打ちで誰にやられたか認識できていなかったんでしょうか。
そして、サッチーは複数機いることが確認されました。
まあ、機能・目的から考えれば、単機であると考える方が無理があります。
サッチーから助けると見せかけて、優子からデンスケを奪う勇子。
ここで初めて優子と勇子が邂逅したのかな?
そして、建設中の駅ビルに逃げ込む勇子は、デンスケから分離したイリーガルに鍵を差し込みました。
小説版では、勇子が逃げ込むのは巨大な皿回しのような「空中庭園」です。
1本の支柱で支えられた円盤の上にある空中庭園。
そこに昇るには、支柱にまきついたコイルのような螺旋階段を使う…
このシーンがとても幻想的で、電脳コイルというタイトルの「コイル」にも繋がる重要なものだと思っていたので、アニメ版ではあっさりと現実的な設定になっていて、ちょっと肩透かしでした。
見たかったなぁ>空中庭園。
話を戻します。
鍵を差し込まれ、黒い文字化け?状態から、結晶化?しだすイリーガル。
この結晶が「キラバグ」だと思われますが…
結晶化は失敗し、イリーガルは周囲の電脳空間も巻き込んで砕け散ってしまいます。
この爆風で、勇子の衣服が吹き飛ばされるのですが、電脳空間の爆発で現実空間の衣服が影響を受けるっていうのはどうよ?と突っ込む間もなく、もっと驚きの展開が…
勇子の肩にも鍵穴が出現したのです。
電脳空間が投影されているのは無機物だけだと思っていたのですが…?
最後に、勇子を「暗号屋」だとする言葉も登場し、勇子は誰かに報告をしているようで、何らかの組織が関与している疑いも高まり、謎は更に深まってきました。
メガばあから、勇子探索の命を受けて、どうやって探そうかと考えあぐねるフミエの前に新たな転入生が現れるって勇子ですよ!(これは小説版と同じなので別に驚きませんがお約束ですので)
さて、次回「大黒市黒客(ヘイクー)クラブ」では、ダイチ vs 勇子の電脳大戦争が描かれるようです。
これで、小説版1巻のエピソードはほぼ消化、という事で今後はアニメが先行する形になります。
次回も楽しみです。
それはそうと、勇子ですが年齢を偽っているように思えます。
本当は、少なくとも中学生なんではないかと…
同様に年齢を偽っていると思って、ネタとしてまとめ切れていないのが、「涼宮ハルヒの憂鬱」でして、古泉は本当は大学生、みくるは本当は中学生くらいではないかと踏んでいます。
古泉は、高校生のときに超能力者になって、精神的に不安定になったところを「組織」に助けられ、大学入学を機に家を出て一人暮らしという名目の下、ハルヒの監視の為に高校生として潜入を命じられた、と考えています。
みくるについては、未来世界ではネオテニーが進み、中学生くらいでも肉体は十分成熟しており、これまた過去への潜入を命じられ、余計なことを喋れないよう、記憶操作や言語中枢の一部をブロックされているのだと考えています。
※ネオテニーは幼形成熟ですので本当は逆です。
実際には、外見は成熟してるけど中身は幼い訳ですが、実年齢が中学生くらいでも
必要な知識は直接脳にダウンロード等できるので、社会人になっている、という
意味でのネオテニーという考え方をしていましたので、誰かに指摘される前に言い訳。
というレベルなので、1本のネタとしてまとめきれずに没にしていたのですが、せっかくなのでここにメモしておきます。
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