「STAR TREK 〜宇宙大作戦〜」スポック萌え=長門萌え

宇宙、それは人類に残された最後の開拓地である。
そこには人類の想像を絶する新しい文明、新しい生命が待ち受けているに違いない。

これは人類最初の試みとして、5年間の調査旅行に飛び立った宇宙船、U.S.S.エンタープライズ号の驚異に満ちた物語である。


マイコン草創期、「スタートレック」というゲームがあった事をご存知だろうか?

英文テキストしか表示できない画面で、エンタープライズ号を操るプレーヤーは、ショートレンジセンサーとロングレンジセンサーを使い分け、敵であるクリンゴン艦を索敵し、フェイザー砲と光子魚雷で攻撃するというゲームである。

検索してみると「こうやま の ほをむぺゐぢ」さんの所で非常に詳しく解説されている。


スタートレックというゲームを知った頃は、自分のマイコンなど持っておらず、ショップの展示機などで触る程度だったが、どういう物語なのか非常に興味を持っていたものである。


両親のどちらだったかは忘れたが、昔放映されていた「宇宙大作戦」というSFドラマの事だという事を教えられ、さらにその当時でも深夜に再放送がされている事を知り、必死で起きて見てすっかり虜になってしまった。
(ちなみに親からは「スパイ大作戦」も面白かったという話を聞かされ、欲求不満になっていたが、これは結局映画「Mission Impossible」まで待たなければならなかった。長かったよ〜)


その後、必死にお小遣いを貯めて買ったSHARP MZ-2000でもよく遊び、さらに早川文庫のノヴェライズも片っ端から書店で注文して買ったものである。
(片田舎の書店から、宇宙大作戦ばかり発注があるのは奇異だったかも知れない…)


そして、映画版「スタートレック」が公開され、ブラッシュ・アップされた「エンタープライズ号」のカッコ良さにもうメロメロになってしまった訳ですよ。(堅い文体は疲れたのでやめ。)

この映画版のNCC-1701エンタープライズ号こそが、僕にとっての宇宙船の一番美しい姿としてインプットされているんだな…ハァ〜美しい…



その後、時代設定も登場人物も新しくなった新シリーズも作られ、それぞれ人気を博したのですが、僕にとってはスタートレックと言えば、エンタープライズ号とMr.スポックのいるオリジナルシリーズしか無いのです。


そんなSTAR TREKオリジナルシリーズが、特撮シーンをCGに置き換え再合成、画像処理を施しHD化したデジタルリマスター版として制作され、本日7/21から放映開始されます。


さて、オリジナルシリーズの登場人物はどれも強烈な個性の持ち主です。特にメインクルーは非常に判りやすいキャラ付けでファンに愛されていました。


カーク船長:愛すべき熱血漢だが、司令官がそれでいいのか?
Mr.スポック:科学主任、副長。地球人とバルカン星人とのハーフ。エンタープライズ号唯一(?)の理性。
ドクター・マッコイ:医療主任。人情医者。カークと仲良し。
スコッティ:機関主任。船の事なら任せろ
(淡い記憶で適当に書いてますので、違っていてもご容赦を!)


基本的には直情径行で暴走するカーク船長を、スポックが諌める、そのスポックをマッコイがからかうというコント形式(違!)で話が進みます。


中でも異色を放っていたのが、レナード・ニモイ演じるMr.スポックで、独特の風貌に尖った長い耳は一度見たら忘れる事が出来ませんでした。(Dr.SLUMP あられちゃんにも登場してた筈)


バルカン星人は、感情を持たず、論理と理性だけで行動するという設定になっており、スポックも幼少時はバルカン人として育てられ、自身もそうであると規定しているのですが…

地球人とのハーフであるスポックは、人間味溢れすぎるカークやマッコイと行動を共にする事により、自分の中に眠る感情に気付き、最初は感情が発露することを嫌悪・忌避していたものの、やがて感情を表すことも大事であり心地良いと感じるようになっていくのです。


長いシリーズの中で、常に論理と感情の間で揺れ動くスポックは、スター・トレックという物語の中でも最も魅力的な人物だったと言えるでしょう。

そういう意味では、スポックに萌えていた、と言えるのかもしれません。


僕が「涼宮ハルヒの憂鬱」という作品を知り、読んでいく中で気付いたのは、「長門有希はスポックなんだ」という事でした。


情報統合思念体によって作られた、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースである長門有希は、文字通り人間型をした情報入出力装置と言うべき存在でした。

生み出されたから3年間、待機状態で過ごしてきた長門有希は、涼宮ハルヒによってSOS団に入団させられ、行動を共にすること、特にキョンから普通の人間として接してもらったことにより、徐々に人間性や感情を獲得していきます。

やがて、感情のうねりによってバグを引き起こす程に…


論理と情報の正確さだけを行動原理としてきた者が、感情という未知の要素に揺さぶられ、普通の人間だったらすぐに忘れてしまう程度の出来事の記憶を大切に大切に保管している…

これこそが、長門に萌える理由であり、スポックが多くのファンに愛されている理由だと僕は思っています。


さて、以下では映画版STAR TREKのネタバレが盛大にありますので念のためお知らせします。







STAR TREK映画版の第2作「カーンの逆襲」で、エンタープライズ号は敵の攻撃によりエンジンルームに大きな被害を受け、航行不能の危機を迎えます。
この時、スポックは周りの制止を振り切り、放射能で汚染されたエンジンルームの中に単身身を投じて、修理を敢行します。
自分が修理をするのが「最も論理的である」という理由で。

スポックの修理により、エンタープライズ号は復活し、無事敵を撃破する事に成功しますが、その代償は「スポックの死」という大変重いものでした。

余談ですが、福井晴敏終戦のローレライ」でも、破損し有毒ガスの出る電池室を修理するために自己を犠牲にするシーンがありました。
僕はこのシーンを読んでいて、スタートレックへのオマージュを強く感じたものです。


そして、気になるのは、やはり古今東西のSFを読み、作品中に数々のオマージュを仕込んでいる谷川流氏の事です。


スポックと同じような行動原理や矛盾に悩まされている長門有希は、いずれSOS団の危機においてその身を犠牲にして散るのではないか、と。


論理的にそういう行動を取る、というのは設定上明らかですが、感情を獲得した上でそのような論理的帰結に沿って行動する、というのが作劇上最大のドラマを生むのは明らかな話ですので、今から心配で心配で…(アホか)


まあ、映画版STAR TREKでは、第3作丸々使ってスポックを復活させたり、第4作でもスポックが以前の状態に戻るという話が描かれている訳で、第2作から考えると映画2本分がスポックの物語である、というのが彼の人気の凄さを示している訳です。

そういう意味では、涼宮ハルヒという物語も、クライマックスは涼宮ハルヒが自分の力を自覚することではなく、その際のトラブルで本当に「消失」した長門を探して見つけ出す、という話になるのかも知れません。


という、スポック萌え=長門萌えという妄想暴走系ネタを、1年以上前から書こうと思っていながらうまくまとまらず、書けずにいたのですが、CAXさんの所でスター・トレック放映を知ったのをいい機会に書き散らしてみました。


そんな訳で今から見ます。


<追記>
オープニングナレーション、「最後のフロンティア」だと思ってたけど、「最後の開拓地」だったんですね。
やっぱ、記憶が曖昧だなぁ…

それにしてもみんな若い!

スター・トレック2-カーンの逆襲-

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

このアイテムの詳細を見る

スター・トレック3 ミスター・スポックを探せ! スペシャル・コレクターズ・エディション

パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

このアイテムの詳細を見る

終戦のローレライ〈1〉 (講談社文庫)
福井 晴敏
講談社

このアイテムの詳細を見る