第10話「カンナの日記」

職員室の攻防は、ミチコさんキラバグ)を取り込んだイサコが圧倒的なパワーでサッチーを撃破。

サッチーのビームに対して、防御壁の展開すらし無いのに対し、サッチーは認可外ドメインのため自己修復が出来ず、全く敵いませんでした。

ところで、職員室の外壁から運動場に飛ばされたときに、ガラスの砕ける音がしたのは演出効果でしょうか?


ミチコさんキラバグ)は、文字列に分解して吸収されていたので、やはり何らかのプログラムである事は確かなようです。


おばちゃんは、イサコキラバグを集めている事を確信し、イサコも、空間管理室の人間が自分を追っている事を知り、自分が全て集めると宣言したので、対立構造が明確化されました。

ヤサコに対して、「あれ(キラバグ)は呪われた物質なのよ…」と言っていたので、その効果などについてもある程度知っているようですが…

イリーガルミチコさんキラバグがいよいよ物語の中心になってきました。



その後イサコは、またしても誰かと電話で会話してたのですが…

「ええ、またひとつ結合したわ。
 判ってる、必ずやりとげるわ。」

電話を切り、つぶやきます。

「もう少し、もう少しで臨界量だわ…
 一人で出来たよ

 褒めて、お兄ちゃん。
 わたしにも出来たよ。」


お、お兄ちゃん…

女王様で、ツンデレで、ドジッ娘な上に妹属性…
イサコ様のスペックはぁ、世界一ぃいっ!って感じです。

イサコの言葉を額面通り受け取るのであれば、キラバグを一定量以上集めれば何かが出来る、イサコの兄(?)はそれを成し遂げた、という事になります。

やはり、メガネが電脳世界を現実に呼び込む手段であるのに対し、キラバグは、現実を電脳世界に呼び込む鍵、というのが一番ありそうですね。


イサコの兄(?)が、キラバグを集めて何らかの問題(意識が電脳世界に取り込まれて戻れなくなる?)に巻き込まれたのであれば、同じ事をやっても助けることは出来ないのではないかと思うのは野暮ですかそうですか…


それでも、イサコが本気で兄(?)を取り戻そうとしていることは、お見舞いに行った叔父(伯父?)さんとの会話でも明らかです。


では、何故叔父さんに「兄がもうすぐ帰ってくる事を報告」に行ったんでしょうか?
しかも、叔父さんに対しては、これまでに無く優しい表情になっています。



これは、イサコの言うお兄ちゃんは叔父さんの息子、つまり実兄ではなく従兄弟という事を意味しているのではないかと思います。

小さいときから仲の良い「お兄ちゃん」と叔父さん。
だからこそ、イサコはあれ程叔父さんに対して好意的なのではないでしょうか?


短絡的に考えると、イサコの父親、お兄ちゃん、叔父さんは、同じ事件に巻き込まれたのではないでしょうか?
その事件により、お兄ちゃんはあちらの世界に取り込まれ、叔父さんは長い入院生活を送る羽目になり、父親は死亡?といった結果を招いた。しかもそれは幼いイサコを助けるためだった…、とか。

叔母さんが見舞いに来たイサコに良い顔をしなかったのは、それを知っていたからかも知れません。


それにしても、ダイチを追放したり、残った黒客メンバーに「暗号屋の技を教えてやる」と言ってるときの凶悪な表情に比べ、兄を思ったり叔父さんを見舞っているときのイサコの表情の柔らかさには参りました。



命令され隊や、踏まれ隊もいいですが、やはりイサコ様の本領はデレにありと言えるでしょう。


さて、未だ明かされていない大きな謎である「4423」が、遂にその姿を見せ始めました。
ひとつはカンナの日記の中、もうひとつはヤサコの記憶の中に。

カンナの日記では、電脳ペットが死んだらどうなるかを問うた掲示板?に書き込みをし、「道順」を教えてきた人物でした。


書き起こそうと思ったのですが、既にジェバンニが一晩でやってくれましたので割愛。

カンナの日記 本文


ヤサコの記憶にある4423は、祖父の葬儀の際に逃げたデンスケを探している時に手伝ってくれた年上の男の子でした。
この子供は、自分を4423と名乗り、優子にヤサコと名づけています。



この少年ですが、「電脳コイル アクセスガイドBOOK」(AA)に掲載されている登場人物のうち、未だに登場していない「ノブヒコ」だと思われます。

8才、12才、14才の3パターンも設定イラストがある程重要なキャラクターなのに、未だに登場していないこと、幼いヤサコと一緒に並んでいる服装が、ヤサコの記憶にあるのと同じネクタイ姿であることなどがその根拠です。

ヤサコと出合った時が8才、現在が14才だとすると、12才の時に何かがあり、回想シーンとして登場するという事ですね。


この4423がノブヒコであり、しかもイサコ「お兄ちゃん」だとすると、話が一気に収束するのですが、ちょっと安直かなぁ〜?

大体、ヨシフミカンナの質問に答えたのは1年前の事で、4423ヨシフミならば「あちら」からこちらにアクセスする手段を持っている事になり、イサコと連絡が取れていないのはおかしい、という事になります。


もしかすると、4423というのは複合人格なのかも知れません。

人間の意識が電脳世界に取り込まれた場合、情報としての自我は拡散してしまうと思われます。
これは、通常空間イリーガルが拡散し消えてしまうのと逆の考え方です。

また、イサコの、イリーガルは自分が何者だったかを忘れてしまう、という話にも繋がります。

自我・自意識を強化するために、複数の人格・意識が集合体を作ることによって、存在を維持しているのかも知れません。
メタバグを接合する事によって、メタタグを作っていたメガばあの技と同じ理屈です。


また、イリーガルメタバグが遺棄された電脳ペットプログラムに由来するのだとすると、キラバグはそんなレベルではなく、これこそが電脳世界に取り込まれた「人間」の意識でではないかとも思います。
そう考えると、キラバグの希少性も理解できますし、イサコがそれを取り込む理由についても、自我を強化し電脳世界に乗り込むため、という説明が付くと思うのですね。


それにしても、一番の問題は、「あちら」が電脳世界なのか、冥界なのかは判りませんが、「あちら」に行ってしまい、戻れなくなる可能性があるという事ですね。

それが肉体含めた物理的なものなのか、精神のみなのかも判りませんが、そこに行ってしまったと思われるイサコのお兄ちゃんを取り戻せるのかどうかというイサコの問題、カンナは何故呼ばれたのか、或いは誰に呼ばれたのか、というハラケンの問題、そして閉ざされた記憶と未だ明かされていない金沢にまつわるヤサコの問題、これら3つの問題を解き明かすのがこれからのストーリーになっていくのではないかと思います。


間もなく小説版2巻も発売され、ますます展開が楽しみです。



<関連記事>
磯光雄監督インタビューより

メモ

第7話「出動!!コイル探偵局」

第6話「赤いオートマトン」

第5話「メタバグ争奪バスツアー」

第4話「大黒市黒客クラブ」

第3話「優子と勇子」

第2話「コイル電脳探偵局」

第1話「メガネの子供たち」