電脳コイルの電脳医療とは?

風邪をこじらせて3週間ほど死んでました。
肺炎かと思うほどひどかったよ…


かなりの謎が明かされた今となっては、23・24話について考察するのは無意味ですので、25話について思った事など。
気力体力時の運が無く、1回しか見てないので、細かい部分に記憶違いがある場合はご容赦ください。


猫目の目的は、父親が発見した「集合的無意識の存在証拠」であるコイルドメインを維持し発表するという事と考えてよいのでしょうか。
それが、病気である母親にどう関係するのかわかりませんが、もしかすると猫目母の電脳体(意識)もコイルドメインに囚われているのかも知れません。


猫目の目的がそうだとして、猫目を操っている黒幕は何が目的なのでしょうか?
ヤサコ父説が有力ですが、オジジは母方のようなので、その無念を晴らすって訳でもないでしょうし…
っていうか、そんな因縁話ばっかりの子供向けアニメはちょっとどうかと思います。


ところで、「集合的無意識」という単語が出てきた事で、ようやく電脳医療コイルドメインについて考える方向性が見えてきました。


心理学は齧った程度なので、間違い等あった場合はこれまたご容赦願います。


そもそも「無意識」という概念を使いだしたのはフロイトです。
フロイトは、精神的な疾患や問題について、表層の意識である自我に対して、意識する事の出来ない無意識があると考えました。

そして、精神病理について個人の心の奥底に原因があると考えたフロイト説では、過去に思い出したくない辛い体験が無意識層に押し込められる事があり、これを精神分析で掘り起こす事で治療が出来ると考えたのです。


一方、ユングフロイトの著作に感銘を受けフロイトに近付きますが、後に両者の考えの根本的な相違を知り訣別します。


フロイトと訣別したユング説のポイントは、無意識層を個人的無意識と集合的無意識の2層に分けた事です。

個人の夢や幻想に現れる内容について、個人の経験が投射された個人的無意識の表出だけではなく、もっと根源的に共有されるイメージについて元型(例えば神話などで表されるイメージ)があると考え、それが存在する領域を「集合的無意識」と名付けました。

フロイトにとって、個人に帰結すべき精神の問題に、人類や民族などが共有する普遍的な内容を含む「集合的無意識」があるという概念は容認できないものだったようです。


さて、ここで先程のフロイト説による精神分析治療について、ユング説を適用して考えるとどうなるでしょうか?

個人としての辛い体験は、個人的無意識層に押し込められます。
各個人の無意識層の中に沈殿した辛く思い出したくない記憶や感情が、さらに奥底の集合的無意識層にまで降りていったとしたらどうなるのか?

本来個人の中で完結していたはずの悲劇的感情が、集合的無意識を介在して共有されるという事になるのではないでしょうか。


コイルドメインがそれを顕在化し、自我を持った存在がアクセス可能な領域に引き上げてしまったと考えれば、そこが悲しみ・苦しみ・呪詛に満ち溢れた空間になってしまったとしても不思議ではありません。


そしてまた、大いなる悲しみ、苦しみから逃れようとして無意識の底に逃避してしまった心を治療するためには、個人的無意識だけではなく集合的無意識にまで落ちてしまった記憶や感情を掘り起こす必要があるのかもしれません。(これを暴露療法といいます)


電脳医療とは、カウセンリングや催眠療法の通用しない、或いは適用できない意識の無い患者に対して、直接関与できる精神分析療法の一種であると考えられるのではないでしょうか。


それは、自分自身で向き合うしかなかった過去の精神的な傷跡に、他人が手を添える事が可能な精神分析医療であるともいえます。
丁度、カンナの死に向き合う事の出来なかったハラケンに、ヤサコが寄り添う事でこっちに戻ってくる事が出来たように。


だとしたら、イサコヤサコが出会った「4423」も、本当のイサコ兄ではなく、電脳医療の電脳デバイスだったのかもしれず、ヌルヌル・キャリアとして作られたのも、そのようなサポートシステムとして想定されていたのかも知れませんね。


まあ、電脳医療がそうだったとしても作中で語られる事は無さそうですが…


さて、25話「金沢市はざま交差点」ですが…


う〜ん、まさかタマ(サッチー)に泣かされるとは思いませんでした。
あちこちで書かれているようですが、僕もシータを守ったラピュタのロボット兵を思い出しました。


今でもあの呪文を唱える事が出来ます。



 リーテ・ラトバリタ・ウルス
 アリアロス・バル・ネトリール


全部の台詞暗記してたもんな〜


そんな訳で、細かいストーリーは追いません。(どんな訳や?


イサコは自分を取り戻しかけなので大丈夫、あとは恐らくタケルが裏切って猫目がひどい目にあうんでしょう(あってほしい)けど、どんな目にあわされるのか楽しみで仕方ありません。
イサコに代わってコイルドメインに取り込まれて、自分が存在証拠になるとかでしょうか。

それにしても、今回の猫目ガノタ台詞、かなり笑えたぞ。


あと、未回収の伏線、謎は多いのですが今回ミチコさんが自我を持っているように描かれた事で、自然発生したとは思えなくなりました。
一体ミチコさんとは「誰」なんでしょう?
そして、鍵穴を開けられない、通っていない筈の猫目はどうやって契約したのでしょうか?


もしかして、コイルドメインに取り込まれているかもしれない猫目母なんでしょうか?


何を言っても次回最終回、全ての謎が明かされるとは思いませんが、イサコデンスケが復活して大団円になって欲しいものです。


<追記>
すいません、ゆすらさん、今更ですがフロイト説じゃなくてユング説がメインだと思うんですよ…

取り敢えず、4423のイサコ兄が治療用に「作られた」存在だった点は正解だったのでホッとしました。





<関連記事>
第22話「最後のコイル」

第21話「黒いオートマトン」

第20話「カンナとヤサコ」

第19話「黒い訪問者」

第18話「異界への扉」

第17話「最後の夏休み」

第16話「イサコの病室」

第15話「駅向こうの少年」

第14話「いきものの記録」

第13話「最後の首長竜」

第11話「沈没!大黒市」

第10話「カンナの日記」

磯光雄監督インタビューより

メモ

第7話「出動!!コイル探偵局」

第6話「赤いオートマトン」

第5話「メタバグ争奪バスツアー」

第4話「大黒市黒客クラブ」

第3話「優子と勇子」

第2話「コイル電脳探偵局」

第1話「メガネの子供たち」


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