第6話「赤いオートマトン」

え〜っと、これなんてトトロ?ってこのネタ初回にやったってば…orz


「友人と真剣に遊んでるときに、妹が纏わり付いてくるのが邪魔なので、邪険にしたら行方不明になって妹大ピンチ、姉大反省」という話でした。今回の感想は以上終わりっ!



いやいやいや、違うでしょ。
ちゃんとやろうよ>自分。


前回のバスツアーで、サッチーを停めたハラケンの意外な実力に驚きながらも、「サッチー電脳ペットにしているハラケンは悪の手先」という認識で、思いっきり敵視したり尾行したり毛嫌いしたりするフミエ

流石、一流のフラグクラッシャーは、洞察力もピカイチの駄目っぷりです。つ〜か超単純。
ハッキング能力はそれなりなのにね…ここまでストレートにしか物事を見れないとすると、ハッキングもマニュアル主義かもしれんな〜


さて、ハラケンの雰囲気が暗かったのは、イリーガルの自由研究中に、幼馴染の女の子「カンナ」が交通事故で死亡したからだった事が判りました。

いきなり重いな、オイ。
大丈夫か?子供向けだぜ?
(えっと、なんか自分のノリがコントロールできてなくて気持ち悪いです。変な電波受信したのか?)


電脳ナビによる自動制御運転中の事故に関しては、運転者にお咎め無しって事で、カンナの死は本人の不注意って事にされたそうですが、その技術至上主義的立法及び法解釈はおかしいですよね、どう考えても…

たとえ社会的にそう認知されてたとしても、遺族は収まらないでしょ、普通。


この世界では、電脳化が社会インフラとして最重要だから、誰も逆らえないといったところでしょうか。
軽い社会主義というか全体主義というか、街の情報が全てデータ化されているのであれば仕方の無い話かも知れませんが、結構ヤバい感じです。

電脳ナビと交通事故については、いつものように究極映像研究所さんが「電脳コイル世界の電脳ナビによる自動走行」で考察されています。

電脳コイルのようなオーグメンテッド・リアリティが実現している世界では、車はサーバからのデータを超高速に受け取ることができれば、外部情報のセンシングはいらない。サーバのデータを電脳ナビ自動走行コンピュータが受け取って、リアルタイムに外界を認識して、走行制御すればいいわけだ。

  〜 中略 〜

中津交差点で電波状態が特に悪いことから、現実の事物のデータが更新されず、電脳ナビが人を認識できていないか、もしかするとイーリーガル他のバグのようなもの(サッチーの取り締まり対象)が邪魔をしているか。


電脳情報化が有機物にも及び、個別移動体による外部センシング無しで制御されている、という考え方なのですが、僕は有機物に関する情報は、各移動体の取得情報によってテンポラリに構成されているのではないかと考えています。

つまり、メガネで相手を見た時点でその情報がサーバに送られ、電脳情報として街の中に配置されるた電脳世界がメガネに表示される、という事です。

バスツアーでダイチたちの体にノイズが走って消えかけていたのは、各めがねが取得した外部情報をサーバに送ったり、再配置された電脳世界の情報が電波障害によってうまくいってなかった、という事だと思います。


従って、電脳ナビとは、車輌の進行によってリアルタイムで入力される映像情報がサーバに送られ、電脳世界がアップデートされながら、自動運転を行っているというようなことではないかと思います。

つまり、アクセル・ブレーキ等の操作、或いは路肩に寄せたりする際のハンドル操作等は、基本的に運転者が直接行っているの操作なのではないかと思っています。


というのは、マンマシンインターフェイスの問題が大きいからです。
メガネは、通常仮想キーボードや、メガネ本体への物理的操作で制御されています。
(だからこそイサコの「イマーゴ」は画期的というか、オーバーテクノロジーですね)

同じ理屈で、電脳ナビについても、非接触で運転者の意思を入力するとすれば音声入力程度になると思われます。

実際の運転では、普通にハンドルやアクセル、ブレーキ等を使用したほうが早く確実に入力できますから…


まあ、電脳ナビの細かい設定はともかく、バスツアーの時の廃車置場も事故の起きた「中津交差点」も「電波状態が悪い」という共通点があります。


だからこそ電脳リンクが阻害され、様々な問題が起きるのでしょうね。
また、電波状態が悪く、電脳空間が不安定になっている場所にはイリーガルが出没しています。


不安定な電脳空間イリーガルの出現、どちらが原因でどちらが結果なのかは判りませんが、相関関係は明らかです。


だからこそハラケンは、今年も自由研究でイリーガルを調べようというのでしょう。


さて、気になるのは「中津交差点」という地名。
小説版では事故が起きやすいのは「はざま交差点」だったと思います。


中津といえば、中心或いは真ん中の港を意味する言葉です。
そして「はざま」も中間を指す言葉です。


この「真ん中」「中間」と「港」から、僕はこの世とあの世を分かつ川、或いは海の存在をイメージせざるを得ません。

三途の川、海界…または黄泉平坂(よもつひらさか)、それは生者と死者とを分かつ境界です。
日本ではイザナギイザナミの神話が、ギリシア神話ではオルフェウスの物語が説くように、死者をそこから連れ戻すことは叶わず、必ず失敗しています。


そんな黄泉の国への入り口、それが現実世界の中にぽっかりと口をあけているかのような、不気味なイメージですね。

小説版でもそうですが、「電脳コイル」という作品には、無力だった子供時代や、「死」というものを理解し恐れていた感情、取り返しの付かない過去といった負の要素が見え隠れしているように感じます。

イサコハラケンは、キラバグで失った何かを取り戻せると考えているのかも知れませんが、過ぎ去った過去や死者が本当に取り返せるわけもありませんか。
キラバグが実現できるとされているのは、本人の想い出で構成された「閉じた電脳世界」なのではないでしょうか。

自分が望んだ世界を自分で作り出し、そこに閉じこもってしまうとしたら…


これこそが、最終的にヤサコが立ち向かわなければならないものなのではないかと思っています。


ここまで書いてきて、栗本薫の短編集「時の石」を思い出しました。
(時の石についてのネタバレあります!)


ぼくが持つと、重く冷たい小石。友人が持つと、実に軽く熱く、全ての悩みを忘れて陶酔してしまう…。“何のために生きるのか?”永遠の命題をテーマに描く、甘くせつない青春の光と影。(鏡 明)


先の人生に希望が持てず、過去の記憶に執着している者を、悦楽の記憶の中に閉じ込めてしまう不思議な小石、それが時の石です。


誰しも来し方行く末に不安を抱くことはありますが、電脳コイルでは恐れずに未来に立ち向かっていく姿が描かれることを期待しています。

とはいえ、当時この短編集を読み、ある朝目覚めると世界が一変し、異世界となる「BURN 〜紫の炎〜」に異常に憧れてたのを思い出してしまうのですが…
当時は他にも、小松左京「こちらニッポン」「物体O」、筒井康隆「霊長類、南へ」など終末モノや異世界転移モノなどを読んでは、自分も「あちら」に行ってしまう妄想にふけっていました。
なんて精神的不健康…


随分話が逸れました。


まずは敵の戦力分析から、という事でフミエヤサコサッチーの能力を解析する事にします。

ここで、そもそも何故サッチーが学校や神社に入れないか、についての詳しい説明がされます。
いやぁ、やっぱり子供向けアニメは親切だな〜


サッチーの活動範囲が限定されているのは、ずばり「縦割行政」の弊害でした。


大方の予想通り、サッチーは「郵政局」の管轄でした。
対して、学校は「文部局」、神社は「文化局」の管轄で、仲の悪い役所のドメインには入れない、という事です。
それにしても、この世界は「局」制なんですね。
大黒市特別行政区だからなのか、政令指定都市の権限が強化されているのか、これもちょっと気になる部分です。

学校、神社以外にも、公園、病院なども入れないそうです。

また、通常の屋外は「オンロードドメイン」、個人の住宅は文字通り「ホームドメイン」として区別されている事も判りました。


ハラケンが郵便局の隣にある花屋さんで花を買ったのを見て、悪の手先である「おばちゃん」を想像し、聞き込みのためにメガネの電源を切るフミエヤサコ



メガネメガネの顔には爆笑しました。
ベッタベタやなぁ、君ら。だがそれがいい




そして、ハラケンの能力の秘密はあっさりと判明。
空間管理局に勤める「おばちゃん」こと原川玉子さん(17)が、イリーガルを自由研究するハラケンのために授けてくれたものでした。高速詠唱で圧縮コマンドを叩き込んでる訳じゃなかったのね、残念。


その原川玉子(17)、自称ピチピチギャル(アイタタ…)は、大黒市空間管理室の客員顧問でした。
17歳で客員顧問って、どんなスーパーハカーですか?

先週からの「怪しいバイクの男」が男ではなく、イサコの仲間でもなく玉子さんだったとは…
だとすると、玉子さんもイサコをマークしてるって事ですね。

玉子さんの上司、空間管理室室長が、ヤサコのお父さんだったのも驚きです。
小説版ではメガマス社員で大黒市に栄転してきたようですが、アニメ版では金沢市からの出向で、どうも中間管理職、しかも玉子さんにはいいように使われてるっぽい雰囲気で、結構ヨレヨレです。

家では娘に邪険にされて、「お父さんはなぁ、若い女の子の気持ちはサッパリだよ…」とボヤくお父さん、可哀想…
次の日はリアルでは父の日だったというのに…


そんな玉子さんが申請したのはサッチーの更なる増強でした。
しかも装備も強化されてるっぽい感じで、来るべき何かに備えているようです。



イサコの独壇場と思われたところに玉子さんが加わり、どうも力技で押す展開が多くなりそうで、さしたる能力を見せていないヤサコの影がますます薄くなりそうです。頑張れ!ヤサコ



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