一方、ソ連は…

昨年末、知人からお土産で「Space Pen」を戴きました。


そう、「一方、ソ連は鉛筆を使った」のアレです。

アメリカのNASAは、宇宙飛行士を最初に宇宙に送り込んだとき、無重力状態ではボールペンで文字を書くことができないのを発見した。


これではボールペンを持って行っても役に立たない!


NASAの科学者たちはこの問題に立ち向かうべく、10年の歳月と120億ドルの開発費をかけて研究を重ねた。
その結果ついに、無重力でも上下逆にしても水の中でも氷点下でも摂氏300度でも、どんな状況下でもどんな表面にでも書けるボールペンを開発した!!



一方、ソ連は鉛筆を使った。


このペンの存在自体は、このジョークが有名になるよりずっと以前、「科学万博 つくば'85」の頃から知っていたのですが、実物を手にするのはこれが始めてした。



これが例のアレかぁ〜とひとしきり感動して、勿体なくて開けられずに今に至るのですが、ふと思ったのは、「そもそもあのジョークは本当なのか?」という事です。
早速調べてみると、当然同じ事を考える人など沢山いる訳で、ほぼ正解と思われる解答に辿り着きましたっていうか3年くらい前ですか?流行ったのは?


一方、ソ連は鉛筆を使った。(Junkyard Reviewさま)

一方ロシアは鉛筆を使った の真相(秋元@サイボウズラボ・プログラマー・ブログさま)

NASA公式サイトに「一方ロシアは鉛筆を使った」の真相(うえぽんSW局さま)



大雑把にまとめると…


・フィッシャーのSpace Penは、NASAからの依頼や資金援助等はなく、独自に開発された。(開発費に20万$説と100万$説あり)
ソ連もフィッシャー社からペンを購入していた。
・実際は、無重力でもボールペンは使える。


という事で、やはりジョークはジョークなんですね。


詳細は、上記リンクを読んで頂くとして、殊更興味深かったのは、日本の「ぺんてる」サインペンがNASAの公式スペースペンとして採用され、実際に宇宙飛行で使われたという逸話でした。
なかなかに、事実は小説よりも奇なりと思わされるお話でした。


宇宙へ旅立ったサインペン  あの時、大統領が手にしなかったら…


そんな、宇宙開発初期のエピソードに思いを馳せたりしながら、この話は忘れていました。
ところが、暮れも押し迫ったある日、年賀状の添え書き用にちょっと太字のペンを探していた時に、1本のボールペンが目に留まりました。


三菱鉛筆ユニ パワータンクという商品です。
「加圧パワーでよく書ける。」というコピーが踊っています。


よくよく説明を読んでみると…

通常のボールペンは重力によってインクが紙面に向かって出ますが、加圧ボールペンはリフィール内の圧縮空気の圧力によってインクを押し出すので、上向き筆記(先端を上に向けての筆記)をしてもリフィール内部に空気を巻き込んで書けなくなることがありません。無重力状態の宇宙でも筆記が可能です。また、水に濡れた紙、氷点下の環境でも筆記することができます。そして、高密度でくっきりと濃い描線を、途切れることなく滑らかに筆記できます。


こ、これは正にスペース・ペンではないですかっ!
NASAではないものの、フィッシャー社が、2年の歳月と数十万ドルの巨費を投じて開発したスペースペンと同じ機能を持った商品が、今やコンビニの棚に数ドルで大量にぶら下がっているのです。


いやぁ〜、コモディティ化って怖ろしいというか、凄いというか…。
約40年という歳月は、最先端技術をここまで身近にしてくれるわけですね。

宇宙旅行も早くそうなって欲しいものです。